Content コンテンツ

東大宇宙線研究所の播金先生が教えてくれた好きなことを気の向くままに思う存分やってみる生き方

朝日小学生新聞のリポーターとして遠方銀河を研究する意義について取材したことがきっかけで知り合うことができた播金先生。宇宙に興味を持ったのは小学校4年生の頃だったそう。その後1度宇宙から離れるも紆余曲折を経て大学で宇宙に出会い、そこから遠方銀河について研究を続けています。

今回は先生へのインタビューの中で教えていただきた<好きなことを気の向くままに思う存分やってみる生き方>をお伝えします。

1, 播金先生ってどんな人?

東大の宇宙線研究所の播金先生と娘
今年の4月、これまでに確認された中で地球から最も遠い銀河候補(HD1)を発見したという発表がなされました。その研究チームの中心人物が東京大学宇宙線研究所助教の播金優一先生です。

5月に悠希菜が朝小リポーターとして、遠方銀河を調べることの意義について取材をさせていただいたことがきっかけで先生の存在を知りました。

とても優秀で気鋭の天文学者である先生ですが、そんな一面とは裏腹に、優しく穏やかな雰囲気が印象的な方で、難しいお話を分かりやすく説明していただきました。

2, 遠方銀河の研究って?

紫色に光る宇宙空間
ここではちょっと播金先生の専門分野についてお伝えしようと思います。

播金先生の専門は銀河の進化。今回発見したHD1は地球から135億光年かなたにある銀河です。遠方の銀河は宇宙が誕生した初期にうまれた銀河で、それを調べることで進化の道筋を明らかにすることができると考えています。

天文学者って望遠鏡をずっとのぞいているイメージがありますが、現在世界にある著名な望遠鏡はすべてコンピュータで制御され、観測データはパソコンで見ることができます。

特に、コロナ以降はリモート観測が急激に進み研究室に居ながらにして研究を進めることが可能になったそうです。

今回の最遠方銀河候補HD1ですが、現段階では観測結果が不十分であることから<候補>とされています。今年の夏に予定されているジェームズ・ウェッブ望遠鏡による観測で正確な距離が測定できると期待されています。

3, どうして天文学者になったの?

そんな播金先生ですが、宇宙に興味を持ったのは小学校4年生の頃。宇宙の図鑑を買ってもらったことがきっかけでした。

宇宙は膨張している!?

天王星や海王星など太陽系の惑星がとてもきれいな画像で紹介されていてその美しさに心打たれたそうです。しかし、先生の心をわしづかみにしたのは、その美しい天体の画像ではなく、白黒で書かれた小さなコラム記事でした。

その記事には宇宙は膨張していて今後、どのような形になるか未だ分かっていないというような内容がかかれていました。

小学生が気にも留めないような白黒で書かれた小さなコラム。その記事がずっと心の中にあったそうです。

しかし、先生の宇宙への興味は一度ここで終了してしまうのです。

数学にドはまりの中高生時代

勉強中にノートを書いているところ
宇宙への興味は1度小学生で終わり、次に興味を持ったのが数学の世界でした。中高生時代は数学に没頭し、将来は数学者になるのが夢だったそう。

大学で再燃した宇宙への情熱

水平線から朝日が昇る地球
小学生の時、実は先生は宇宙よりも昆虫大好きな昆虫博士だったそうです。その影響で、大学でも昆虫に関する授業をとりましたが、それほど興味が持てずにいました。そんなときに再び先生の前に登場したのは<宇宙>でした。

<宇宙は数式で表すことができる>

小学生の時に興味を持った宇宙と中高生の時にドはまりした数学の世界が大学生で融合して新たな情熱となって先生の中に炎をともし始めたのでした。

4, どんな小学生でしたか?

草原で昆虫採集に夢中な男の子
先生はどんな小学生だったのか聞いてみました。

小さい頃から昆虫が大好きで、小学校の頃は昆虫大好きの昆虫博士でした。
宇宙より昆虫の方が好きだったくらい!!

将来は昆虫学者もいいなと考えていて、気の向くままに昆虫をとって昆虫に夢中になっている小学生だったそうです。

5, 好きなことを気の向くままに

研究者としては論文を書くための国語力、英語力、それに加え専門分野である数学やブル地の能力が重要視されますが、なによりも<宇宙が好き>という気持ちが1番大切だとはなしてくださった播金先生。

そんな先生から子供時代の過ごし方についてアドバイスいただきました。

播金先生からのアドバイス

ハートを持ち家族に見守られる女の子
分野を限定せずに、自分の心が赴くままに好きなだけ楽しむことが大切。好きなことを好きなだけやる。好きなことなら自分のエネルギーをたくさんそそげますから、好きってとても大切なんです。と話す播金先生。

「すべての分野できる人って世の中にそうそういません。どんなに頑張っても苦手な分野ってあると思うんです。だけど、<好き>って気持ちでいろんなことがカバーできる。それくらいすごい力を持っています。だからこその<好き>を大切にしてほしいです。」
とお話してくださいました。

子育て体験談~梶田家の場合~

宇宙の巻物の隣によこになる悠希菜
子育てをする中で子供には2つのパターンがあると感じます。

1つはずっと同じことが好きなタイプ。もう1つは興味の方向性がバラバラなタイプ。

梶田家の悠希菜は後者です。興味の分野がバラバラで、同時並行的になんこかハマるものがある時期もあるし、興味は成長とともに変わってきています。

1つの分野にハマる子は成長とともにその内容もどんどん深くなっていき、本当に専門家のような知識を備えたお子さんも珍しくありません。一方悠希菜のようにあれもこれも手を出すタイプはどれも中途半端で終わってしまうのではないかと心配していました。

しかし、私たち親がアドバイスしようが、好きなことをやりたいタイプの悠希菜は自分の好きを貫き通して、勝手に楽しんでいます。

するとどんなことが起こるかとというと、全く関係ないと思っていた分野同士につながりを発見したり、不思議な共通点に気付く瞬間があるのです。

すると、すると…相乗効果でその両方の分野をさらに深く調べたくなる。一見カオスに見える悠希菜の好きも、私の想像を超えたところでつながっているのです。

どちらがいい悪いの話ではなく、その子の<好き>を見守る姿勢が親として大切なんだと痛感しました。

6, 最後に

お母さんとおでこを合わせ微笑む女の子
今回の播金先生の研究チームの発表は世界が注目した大発見でした。それくらいすごい研究をする超一流の研究者は小学生のころからさぞかし勉強熱心なのかと思いきや、自分の好きをとことん追求する小学生だったときき正直驚きました。

最近の小学生は宿題に加え、塾や習い事など平日も多忙です。やらなくちゃいけないこともたくさんあるでしょう。しかし、好きなことをとことんやる時間こそ1番大切にしたい時間だとかんじました。

ついつい「宿題やった?」「勉強しなさい」と言いたくなってしまうこともあるのですが、好きを見守る覚悟と寛大さを私たちは求められているのかも知れませんね。