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肝を養う春の薬膳レシピ

春に活発になる肝を養う春の薬膳レシピの紹介です。時間がない平日におススメの<時短レシピ>。休日お子さんを楽しみたい<休日レシピ>ヴィーガンやベジタリアンの方対応の<べジ薬膳レシピ>を全部で6つ、中医学的アドバイスを添えて紹介しています。どのレシピもスーパーで手に入りやすい食材を使用しています。この春<薬膳>という新たな視点を食卓に加えてみませんか?

1, 春の薬膳レシピで身体も心もイキイキ

春の養生について『春の養生(理論編)』で紹介しました。お勧めの食材やお勧めの味について書きましたが、具体的なレシピの掲載はありませんでしたので今日は春に食べたい肝を養う薬膳レシピを6つ紹介します。

薬膳とは中医学の考え方に基づき考案された健康維持や病気の予防、体調の改善に特化した料理のことです。食文化と中医学の融合と考えてよいでしょう。
どの食材も味と性質を持っています。これを中医学では<五気六味>と言います。その味が作用しやすい五臓六腑がありこれを<帰経>とよびます。この五気六味と帰経を利用し、年齢、性別、体質、体調、季節や生活環境にあわせることで心と身体を整えることができる、それが薬膳料理です。

薬膳料理はベジタリアン料理ではありませんから、動物性食品も良質なものを適量いただきます。しかし最近はベジタリアン食やヴィーガン食の実践をされている方も多くいらっしゃると思うのでそんな方にも薬膳料理を体験していただきたくてべジ薬膳レシピを3つ紹介しました。

また、平日、時間がない時に向いている<時短レシピ>、休日時間的に余裕があったりお子さんと一緒に楽しく作れるレシピを<休日レシピ>として紹介しています。さらに、食材の入手方法やアドバイスなども掲載しました。

薬膳は特別な食材を使用しないと作れない物ではありません。
毎日買い物に行くスーパーに並ぶ食材の性質や効能を上手に活用することで十分に薬膳料理を楽しむことができます。中医学視点も書きましたのでぜひ参考にして<中医学の目>も養っていただけたらと思います。
それではレシピの紹介です。

2, 春の薬膳レシピ① 海老のともえ炒め

【レシピ名】海老のともえ炒め <時短レシピ>

【中医学の視点】
アンチエイジング効果が期待できる海老、肝の気の流れを抑止血行促進や血流改善、また疲労回復に効果が期待できるニラ、精神を安定させイライラをおさえる卵の3つの食材でつくる炒め物です。身体とこころの陰陽のバランスを整えます。
また、見た目もきれいで食が進みます。下処理が必要ない冷凍のエビを使えば忙しい朝にもお弁当にも大活躍できるレシピです。

【材料】
海老(殻付き)250g、ニラ1束、卵3個、紹興酒大さじ1、油適量、片栗粉・塩 各少々

【作り方】
① ニラは3センチの長さに切り炒め、塩で味付けをしてお皿に盛る。
② 卵を割りほぐし塩を少々加えて炒め、ニラの上にのせる。
③ 海老は殻と背ワタを取り、紹興酒、塩で味付けをして最後に片栗粉をまぶす。
④ 鍋に油をしき、海老を炒めて②に盛り付け完成。

【アドバイス】
海老は腎に帰す食材です。中医学における成長、発達、さらに老化は腎が担当します。腎を元気にする食材はお子さんの健やかな成長、ママのアンチエイジングにも効果を発揮します。
時間がない場合は冷凍のエビを、時間とお財布に余裕がある時は生のエビを使ってみましょう。生の海老のおいしさはたまりません。

3, 春の薬膳レシピ② ブロッコリーと鶏肉の炒め物

【レシピ名】鶏肉とブロッコリーの炒め物 <時短>

【中医学の視点】
鶏肉は身体を温め、気を補います。春先に旬を迎えるブロッコリーは疲れや耳鳴りの対策に。また胃腸の調子を整える効果もあります。ネギや生姜は気を巡らせる働きがあり、イライラの原因になる気の停滞を改善することが期待できます。

【材料】
むね肉200g、ネギ60g、生姜10g、ブロッコリー1/房、片栗粉大さじ1,油大さじ1、紹興酒大さじ1、塩胡椒少々

【作り方】
① ブロッコリーを小房に分けて下茹でする。
② ネギを斜め切り、生姜をみじん切りにする。
③ むね肉を薄切りにし、生姜、紹興酒、塩胡椒、片栗粉でも見込み下味をつける。
④ 鍋に油を熱し、ネギを炒めてから③を入れ①をいれ塩で味を調え出来上がり。

【アドバイス】
ブロッコリーを菜の花に変えて作ることもできます。
菜の花は気の滞りを発散させる効果があります。春に活発になる肝と関連する目の充血の改善や、めまい、イライラの解消に効果を発揮します。

4, 春の薬膳レシピ③ ちらし寿司

【レシピ名】ちらし寿司 <休日レシピ>

【中医学の視点】
昼と夜の長さが同じになる春分(秋分)の時期は自然界では陰陽の転化が起こる時期です。陰陽のバランスを整えるためにも、食卓にも陰のエネルギーと陽のエネルギーをバランスよく取り入れることが健康のポイントです。陽を補う海老と陰を補うアスパラに春に活発になる肝を養生する酸味を合わせました。雛祭りだけの特別食ではなく、春の養生としてちらし寿司をお楽しみください。

【材料】
お米2カップ、海老100g、アスパラ4本、卵2個、蓮根20g、人参50g、生食用菊花適量、塩適量、酢飯用合わせ酢(酢大さじ2、はちみつ大さじ1、塩小さじ1)

【作り方】
① お米は酢飯ように固めに炊く。
② 卵に塩少々を入れ炒り卵をつくる。
③ 人参は千切りにし少々の塩を合え、表面に水分がういてきたら酢と水を加え蒸し煮にする。
④ 菊花はがくをとりほぐしておく。
⑤ 海老は殻をむき背ワタを取る。アスパラと蓮根は一口大に切る。
⑥ ②を鍋に入れ、水80mlをいれ蒸し煮にする。
⑦ 酢飯用の合わせ酢を作り炊きあがったご飯にまぜる。
⑧ 具材を盛り付けて菊花を散らしできあがり

【アドバイス】
菊花は氣血の流れを良くする働きがあり、お茶として長くのめがアンチエイジング効果が期待できます。肝のよわりによる目の疲れ、めまい、熱っぽさイライラにも効果があると言われています。
お子さんが喜ぶ彩鮮やかなレシピです。ママが下準備をして盛り付けをお子さんに任せるなど食育の一環として作る段階から親子で楽しめるレシピです。また、お誕生日や雛祭りなど活躍の機会が多いです。

5, 春の薬膳レシピ④(ヴィーガン対応)わかめとほうれん草のキムチ風ナムル

【レシピ名】わかめとほうれん草のキムチ風ナムル<平日時短>

【中医学の視点】
ほうれん草は血液を充実させる働きがあります。肝の不調による目の充血やめまい、頭痛に効果を発揮します。またイライラの改善の期待できます。ワカメにはむくみ改善効果があります。調味料の中にある生姜、ネギは発散力によって気を巡らせます。韓国唐辛子は日本の唐辛子に比べ辛み成分が弱く旨味が強いと言われますが、辛味が苦手な方や乾燥が気になる方は辛味を調整してください。

【材料】
塩蔵ワカメ200g、ほうれん草200g 醤油適量、
<韓国風ナムルの調味料>
ネギみじん切り大さじ2,醤油大さじ4、すりごま大さじ2、胡麻油大さじ2、塩小さじ1/2、韓国唐辛子小さじ1/2、ニンニク・生姜のすりおろし各小さじ1/2、胡椒少々

【作り方】
① ワカメをあらって塩抜きし食べやすい大きさに切る。
② ワカメ以外の材料を混ぜ合わせワカメを加える。
③ ほうれん草をゆで余分な水分を切り3センチ幅に切り、醤油を加えまぜる。
④ 再度ほうれん草の水分をさっと絞り②をくわえ混ぜ、醤油で味を調える。

【アドバイス】
生ワカメでも作ることができますが余計な水分が出てしまうことが難点です。生ワカメを使用する時は食べる直前にさっとあえキムチ風ナムルを作り、生ワカメのフレッシュさをサラダ感覚で楽しんでください。

6, 春の薬膳レシピ⑤(ヴィーガン対応)車麩のすき焼き風

【レシピ名】車麩のすき焼き風<休日レシピ>

【中医学の視点】
春菊には肝の機能を高め、気の巡りを良くする働きがあります。夜なかなか寝付けないときや眠りが浅い時、また口臭の改善にも効果的です。

【材料】
玉ねぎ400g(スライス)、油大さじ2、昆布だし2カップ、醤油大さじ2+大さじ2
A車麩5枚(4つに切りさっと油で素揚げする)
 長ネギ1本(厚めの斜め千切り)、春雨20g(お湯で戻して食べやすい大きさに)
春菊1/2束

【作り方】
① 鍋に油をいれ玉ねぎがしんなりして甘みが出るまでゆっくり炒め醤油大さじ2を加える。
② だし汁と残りの醬油を加えた後に、鍋に車麩をきれいに並べその上にネギをかぶせ蓋をして車麩に火がとるまで20分~30分程度弱火でゆっくり煮る。
③ 車麩が芯まで柔らかくなったら火を止め、春菊を加え余熱で火を通し出来上がり

【アドバイス】
車麩をにつける前に油でさっと上げることで型崩れを防ぎつつ、コクと旨味、さらにお肉のような食感を出すことができます。お肉がないと食べた気がしないという男性も大満足できるボリュームレシピです。
車麩は自然食品店で手に入りますが、入手できないときは仙台麩や大きい目の麩で代用できます。

7, 春の薬膳レシピ⑥(ヴィータン対応)ヨモギの草もち(レーズンあんこ)

【レシピ名】よもぎの草もち

【中医学の視点】
春になると青々としげるよもぎ、日本でも昔からその薬効が知られていました。中医学では艾葉とよばれ経絡を温め出血を止めたり、血液の浄化を促進する働きがあります。春の野の草には排毒を促進する力があると言われます。ピクニックに出かけて摘んできたヨモギでぜひ作ってみたい逸品です。
あんこには甘みとして養血作用のあるレーズンを使用しました。砂糖を使ったあんことは一味違い酸味のきいたフレッシュな甘みをお楽しみください。


【材料】

<草もち>
よもぎ60g~80g、上新粉200g、熱湯170ml、白玉粉50g、水30ml

<レーズンあんこ>
レーズン(オイルコーティングなしのもの)…1カップ、水…1カップ
あずき…1カップ、塩…小さじ2/1、水…3カップ+1カップ


【作り方】

<レーズンあんこ>

① レーズンペーストを作ります。

・レーズン(オイルコーティングなしのもの)…1カップ
・水…1カップ

(1) 材料をお鍋に入れ、水分がなくなるまで煮詰める。
(2) ミキサーに入れてペースト状になるまで攪拌し再度お鍋へいれる。
(3) ミキサーに水2分の1カップを入れ中をすすいだものをおなべにいれ、
全体量が1カップくらいになるまで焦がさないように煮詰める。

②レーズン餡の作り方(1回に作りやすい分量)

・あずき…1カップ
・塩…小さじ2/1
・水…3カップ+1カップ
・レーズンペースト…お好みで

(1) 小豆は3カップの水を入れ沸騰するまで蓋はせずに煮立てる。
(2) 煮立ったら水1カップを3~4回にわけて煮立っては水を差し、煮立っては水を差しをくりかえし、蓋をして煮る。
(3) 再度煮立ったら、弱火にし、小豆が柔らかくなるまで煮る。
(4) 柔らかくなったら塩をくわくえ蓋をしたまま、水分がなくなるまで煮る。
(5) ふたをとり弱火のまま、木べらで練る。木べらを入れてあんこが戻らないくらいの硬さになればOK。
(6) レーズンペーストをくわえ、⑤の硬さに戻るまで練る。


<草もち>
① ボウルに白玉粉と水を入れ粒を溶かす。
② ①に上新粉を加えはしでまぜ、耳たぶくらいの方さになるよう手でこねる。
③ 蒸気が上がった蒸し器に固く絞ったふきんを敷き②を一口大にちぎりならべ強火で15分蒸す。
④ ヨモギを洗い、ごみをとり、重曹を入れたお湯でゆる。火が通ったなら水を切り繊維を包丁で細かくするように切った後にすり鉢で細かくする。
⑤ 蒸し上がった生地に④を混ぜすりこ木でつき、ある程度混ざったら艶が出るまで手でこねる。
⑥ あんこを丸めて生地で包む。

【アドバイス】
春の野でお子さんと一緒によもぎ摘みをしてそのまま草もちづくりまで一緒に行えば春を体験する一大イベントになります。
よもぎは止血効果があるため野外の活動で怪我をした際や鼻血が出た場合菜など適量のよもぎを揉んで患部に当てるいことで応急処置ができます。
また、乾燥させてお茶にしたりハンカチなどで包み枕のなかに入れることで安眠効果が期待できます。

8, 春の薬膳レシピまとめ

今回は春の薬膳レシピを紹介しました。平日時間がない時に使えるレシピ、休日にお子さんと楽しむレシピ、べジやヴィーガン対応の薬膳レシピの紹介はいかがだったでしょうか?
ライフスタイルにあわせて楽しみながら薬膳の考え方を取り入れて、快適な春をお過ごしいただければと思います。
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